大麻をやめた後の食欲不振はいつまで続く?期間と対処法

大麻をやめた直後に「何も食べたくない」「胃がムカムカする」と感じるのは珍しくありません。食欲不振と吐き気がなぜ起こり、いつまで続くのか。日ごと・週ごとの経過、無理なく食べるための工夫、病院に行くべきサインをまとめました。

A bowl of yogurt with fruit and a cup of coffee for breakfast
Photo by Brooke Lark on Unsplash

朝起きて、冷蔵庫を開けて、そのまま閉める。昨日も、その前の日もそうだった。お腹は空いているはずなのに、食べ物を見ると胃が重くなる――。大麻をやめて数日たった頃、こうした経験を話してくれる人に、私はこれまで何人も出会ってきました。

大麻をやめた後の食欲不振は、離脱症状の中でもよくあるものの一つです。そして多くの場合、一時的なものです。この記事では、なぜ食欲がなくなるのか、日ごと・週ごとにどう変化していくのか、食べられないときにどう乗り切ればいいのかをお伝えします。あわせて、我慢せずに医師に相談すべきサインもまとめました。

大麻をやめると食欲がなくなるのはなぜ?

大麻に含まれるTHCは、体の「エンドカンナビノイド系」に作用します。この仕組みは、食欲、吐き気、気分、睡眠の調整に関わっています。いわゆる「マンチ(食欲増進)」が起こるのはこのためです。

大麻を長く使っていると、脳はTHCがある状態に慣れていきます。カンナビノイド受容体の働きが弱まり、外からの刺激がないと食欲のスイッチが入りにくくなるのです。そこで急に使用をやめると、体のバランスが戻るまでの間、食欲が落ちたり胃がムカムカしたりします。

研究でもこの点は確かめられています。大麻離脱症候群に関するレビュー(PubMed)では、食欲低下や体重減少、吐き気などの胃腸症状が、いらだち、不安、睡眠障害と並ぶ代表的な離脱症状として挙げられています。また、JAMA Network Openに掲載されたメタ分析によると、大麻を定期的に使っていた人のおよそ半数が何らかの離脱症状を経験しているそうです。

つまり、食べられないのは「意志が弱いから」でも「体がおかしくなったから」でもありません。体が元の調整機能を取り戻そうとしているサインです。

食欲不振を強める、ほかの要因

私が見てきた中では、食欲不振は単独で起こることはあまりありません。次のような要因が重なって、さらに食べにくくなっていることが多いのです。

  • 不安やいらだち:ストレスを感じると交感神経が優位になり、胃腸の動きが鈍ります。
  • 睡眠不足:眠れない夜が続くと、空腹感と満腹感を調整するホルモンが乱れます。
  • 習慣の変化:「吸ってから食べる」という流れがなくなり、食事のタイミングそのものを失ってしまう人もいます。
  • カフェインやたばこの増加:大麻の代わりにコーヒーやたばこが増えると、胃への刺激や食欲低下につながります。

大麻をやめた後の食欲不振はいつまで続く?日ごとの経過

経過には個人差があります。使っていた量や頻度、期間、体質によって変わります。それでも、多くの人にはある程度共通したパターンがあります。大麻離脱の経過を追った研究(Budneyら、PubMed)では、症状の多くはやめてから1〜3日で始まり、2〜6日目にピークを迎え、その後1〜2週間かけて落ち着いていくと報告されています。

1日目(やめてから24時間)

まだ大きな変化を感じない人も多い時期です。ただ、毎日使っていた人は、夕方頃から「なんとなく食べる気がしない」と感じ始めることがあります。

2〜3日目:症状が出てくる

食欲不振や吐き気がはっきり出てくるのがこの頃です。朝の吐き気や、数口で満腹になる感覚を訴える人が多いです。いらだちや寝つきの悪さも同時に強まりやすい時期です。

4〜6日目:ピーク

多くの人にとって、ここが一番つらい時期です。「一日中ほとんど何も食べられなかった」という声もよく聞きます。ただ、この時期を越えると少しずつ楽になっていくのも、私が何度も目にしてきたパターンです。

7日目前後:少しずつ回復

1週間が過ぎる頃には、「朝は無理でも、夜は普通に食べられた」という人が増えてきます。食欲は一気に戻るのではなく、波を描きながら戻ってくるものです。

週ごとの経過:1週目〜1か月以降

1週目

食欲不振と吐き気が最も強い時期です。目標は「しっかり食べる」ことではなく、「水分と最低限のエネルギーを確保する」ことと考えてください。

2週目

多くの人は、この頃に食欲がかなり戻ってきます。前述の研究でも、離脱症状の大半は2週間前後でおおむね落ち着くとされています。ただし、空腹を感じるタイミングがまだ不規則なこともあります。

3〜4週目

食欲はほぼ元に戻っている人がほとんどです。一方で、睡眠の乱れや鮮明な夢は長く続くことがあります。夢が気になる場合は、禁酒後の悪夢の原因と対処法の記事も参考になります。アルコールについての記事ですが、離脱期の夢への向き合い方には共通点が多くあります。

1か月以降

1か月を過ぎても食欲が戻らない、または体重が減り続けている場合は、離脱症状以外の原因も考えられます。うつ病や胃腸の病気などが隠れている可能性もあるので、医療機関で相談することをおすすめします。

反対に、この時期に「食欲が増えすぎた」と感じる人もいます。食べることが新しいストレス解消法になっていないか、ときどき振り返ってみてください。

食べられないときに役立つ、シンプルな食事の工夫

私がこれまで見てきた中で、うまく乗り切った人たちには共通点がありました。「ちゃんと食べなきゃ」と自分を追い込まず、ハードルを思いきり下げていたことです。

1. 「3食」より「少量を何回も」

一度にたくさん食べようとすると、それだけで気が重くなります。2〜3時間おきに、おにぎり半分やヨーグルト1個など、少しずつ口に入れるほうが続けやすいです。

2. お腹の感覚ではなく、時計を見て食べる

離脱期は、空腹のサインそのものが弱くなっています。「お腹が空いたら食べる」を待っていると、一日中何も食べずに終わることもあります。スマートフォンのアラームで食事の時間を知らせるのは、とてもシンプルですが効果的な方法です。

3. 冷たいもの・においの少ないものを選ぶ

吐き気があるときは、温かい料理のにおいが負担になることがあります。多くの人が食べやすいと感じるのは、次のようなものです。

  • 冷たいうどん、そうめん
  • バナナ、りんご、すりおろしりんご
  • ヨーグルト、プリン、ゼリー飲料
  • クラッカー、塩むすび
  • 冷ややっこ、ゆで卵

4. 飲み物でエネルギーをとる

固形物がどうしても無理な日は、飲むことでカロリーや栄養を補いましょう。豆乳、牛乳、プロテインドリンク、スムージー、具の少ないスープなどが便利です。少しずつ口に含むように飲むと、吐き気が出にくくなります。

5. 朝の吐き気には「起きる前のひと口」

朝いちばんに吐き気が強い人は、枕元にクラッカーや飴を置いておくのがおすすめです。起き上がる前に少し口に入れておくと、空腹による吐き気がやわらぐことがあります。

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6. しょうがを取り入れる

しょうがは昔から吐き気対策として使われてきました。しょうが湯や、温かい白湯にすりおろしたしょうがを少し入れるだけでも試す価値があります。ただし、胃が荒れている人はとりすぎないようにしてください。

7. 脂っこいもの・刺激物は避ける

揚げ物、辛いもの、大量のコーヒーは胃に負担をかけます。離脱期はコーヒーの量が増えがちですが、空腹時のコーヒーは吐き気を強めることがあります。

8. 軽く体を動かす

10〜15分ほどの散歩は、胃腸の動きを助け、自然な空腹感を引き出してくれます。不安やいらだちをやわらげる効果も期待できます。ハードな運動は、食べられるようになってからで十分です。

水分補給は「食べること」より優先

私が特に強調したいのはここです。数日間あまり食べられなくても、多くの人の体は乗り切れます。けれども、水分が足りなくなると話は別です。

吐き気で水を飲むのもつらいときは、一度にコップ1杯ではなく、数分おきにひと口ずつ飲んでください。汗をかいたり嘔吐したりした場合は、水だけでなく経口補水液で塩分と糖分も補うのが安心です。

尿の色は、水分が足りているかを知る簡単な目安になります。薄い黄色なら問題なし、濃い色が続くなら水分不足のサインです。

食欲不振と一緒に起こりやすい症状への向き合い方

食欲は、睡眠や気分とつながっています。ほかの症状を少し楽にするだけで、食べられるようになる人も多いのです。

眠れないとき

大麻をやめた後は、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりしやすくなります。寝る時間と起きる時間を一定にし、寝る前のスマートフォンを控えるだけでも違いがあります。睡眠と依存性物質の関係については、お酒が眠りをどう壊すかを解説した記事も参考になるはずです。

使いたい気持ちが強いとき

「吸えば食欲が戻るのに」という思いがよぎるのは自然なことです。けれども、それは一時しのぎにすぎず、離脱のサイクルをまた最初からやり直すことになります。欲求は波のようにやってきて、必ず引いていきます。仕組みを知っておくと少し楽になるので、欲求が起こる原因と乗り越え方もあわせて読んでみてください。

こんなときは医師に相談を:見逃したくないサイン

ほとんどの食欲不振は時間とともに落ち着きます。それでも、次のような症状があるときは、我慢せずに医療機関を受診してください。

  • 水分が24時間以上ほとんどとれない、または飲んでもすぐ吐いてしまう
  • 脱水のサイン:立ちくらみ、強いだるさ、尿がほとんど出ない・とても濃い、口の中がカラカラに乾く
  • 体重が明らかに減り続けている:目安として、1か月で体重の5%以上(60kgの人なら約3kg)減った場合
  • 血が混じった嘔吐、黒っぽい便、激しい腹痛
  • 激しい嘔吐を繰り返し、熱いシャワーや入浴で一時的に楽になる(カンナビノイド悪阻症候群の可能性があります)
  • 2〜4週間たっても食欲がまったく戻らない
  • 強い落ち込みが続く、何にも興味が持てない、または死にたい気持ちがある

また、糖尿病などの持病がある人、妊娠中の人、摂食障害の経験がある人は、症状が軽くても早めに相談するのが安心です。

受診をためらう気持ちがあるのは、よくわかります。けれども、医師は体を守るためにいます。国内では、国立精神・神経医療研究センター 薬物依存研究部が薬物依存の治療や回復支援に関する情報を発信しています。また、各都道府県の精神保健福祉センターでも、薬物の問題に関する相談を受け付けています(厚生労働省 依存症対策)。

回復を後押しする、日々の小さな習慣

食欲が戻るのを待つ間、私が多くの人にすすめているのが「記録をつけること」です。何をどれくらい食べたか、何時に吐き気が強かったかを簡単にメモしておくと、少しずつ良くなっている自分に気づけます。

体重は毎日ではなく、週に1回、同じ時間に測るくらいがちょうどいいでしょう。毎日の上下に一喜一憂すると、それ自体がストレスになってしまいます。

そして、やめた日から数えた日数を見える形にしておくことも大きな力になります。「今日で5日目、ピークはもうすぐ終わる」とわかるだけで、つらさとの向き合い方が変わります。Soberアプリのような日数カウンターを使って、乗り越えた日々を振り返るのもひとつの方法です。

回復は一直線ではありません。食べられた日もあれば、また食欲が落ちる日もあります。それでも、全体を見れば確実に前に進んでいます。今日、ひと口でも食べられたなら、それは十分な一歩です。

Frequently Asked Questions

大麻をやめた後の食欲不振はいつから始まりますか?

多くの場合、やめてから1〜3日のうちに始まります。症状は4〜6日目頃にピークを迎え、その後少しずつやわらいでいきます。毎日たくさん使っていた人ほど、早めに強く出る傾向があります。

食欲が完全に戻るまでどのくらいかかりますか?

多くの人は1〜2週間でかなり回復し、1か月以内にはほぼ元に戻ります。ただし、睡眠の乱れや不安が続いていると、食欲の回復が遅れることもあります。1か月を過ぎても戻らない場合は、医師に相談してください。

大麻をやめた後の吐き気を和らげる方法はありますか?

少量をこまめに食べること、冷たくにおいの少ない食べ物を選ぶこと、しょうがを取り入れることが役立ちます。空腹時のコーヒーや脂っこい食事は避けましょう。水分は一度にではなく、ひと口ずつこまめにとるのがコツです。

食べられない日が続いても大丈夫ですか?

数日間食事量が減る程度なら、多くの場合は心配いりません。ただし、水分がとれない状態が24時間以上続く場合や、体重が急に減っている場合はすぐに受診してください。食事よりも水分補給を優先することが大切です。

食欲を戻すためにまた少しだけ使ってもいいですか?

一時的に食欲が戻っても、離脱症状のサイクルが再びリセットされてしまいます。つらい時期は通常1〜2週間で峠を越えるので、食事の工夫や医師のサポートで乗り切ることをおすすめします。どうしてもつらいときは、一人で抱えず専門家に相談してください。

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